この記事は『メイドインアビス』のボンドルドとイドフロントのデザインに関する個人的な解釈と推測を含んだ考察記事です。
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皆さん、『メイドインアビス』のつくし先生が漫画家デビュー前、
ゲームイラストレーターとして活動していたことをご存知でしたか?
先生はゲームが大好きでよく遊んでいたため、
過去にゲームイラストレーターという職業を選ぶのにも大きな影響を受けたそうです。


そして漫画作品も様々なゲームからインスピレーションを得たそうです。
特に私たちに馴染み深いボンドルドのデザインシルエットも、ダークファンタジーゲーム『ブラッドボーン』の影響を受けているとのことです。( 出典: 2025/01/09 つくし先生のYouTube )

< ブラッドボーン(Bloodborne)とは? >
1800〜1900年代のイギリス・ヴィクトリア朝時代の優雅でゴシックな雰囲気を盛り込んだゲームで、ロングコートや洒落た帽子といった19世紀の服飾が大きな特徴だ。
以前私がツイッターで「ボンドルドの服は19世紀イギリススタイルだ」と言及したことがありますが、
より正確に言えば 【 19世紀イギリススタイル ▶ ブラッドボーン ▶ ボンドルド 】の過程を経て、今の魅力的なボンドルドのシルエットが誕生したのです!


まず、『ブラッドボーン』の登場人物たちとボンドルドのシルエット比較です。
では、ブラッドボーンの時代背景である19世紀イギリス、
いわゆる「ヴィクトリア朝」の素敵な紳士たちは果たしてどんな服を着ていたのでしょうか?
これから両作品の基礎デザインコンセプトとなった当時の衣服様式を本格的に掘り下げてみましょう!

19世紀前半のイギリス紳士を代表する服装の一つである、
クラバット(Cravat)+ロングコート+乗馬ズボン+ロングブーツの組み合わせです。
どうですか、
どこか見覚えのあるシルエットではありませんか?
# ボンドルドと19世紀イギリス
1. ボンドルドのクラバット ( Cravat )

ボンドルドが首に巻いているネクタイ状の装飾です。( 流行: 17世紀~19世紀後半 )
17世紀のクロアチア傭兵のスカーフに由来しています。そして、19世紀ヴィクトリア朝のイギリス紳士たちの間では、自身の個性と権威、清潔さをアピールする必須の正装要素として大きく愛されました。
過酷なアビスの環境でも端正に巻かれたクラバットは、ボンドルドが貴族あるいは紳士としての身だしなみを重視しているという姿を示しています。
2. ボンドルドのコート : フロックコート ( Frock coat )

フロックコートは背中の曲線とくびれたウエストラインが特徴で、丈が膝まである紳士の礼服です。
( 流行 : 1830年代~1890年代 )
本来、平凡な都心の気候や環境に合わせた紳士の外出着ですが、ボンドルドのコートはこの優雅なラインを維持しつつも、過酷な探窟と非常に寒冷な深界5層の環境でも耐えられるように改造されています。厚手の革素材で作られた防寒用「オーバーコート」の長所も取り入れて、完璧にリデザインされたものなんですよね。
3. ボンドルドのズボン : 乗馬ズボンの一種、ジョッパーズ ( Jodhpurs )




ボンドルドのズボンは乗馬服の一種である「ジョッパーズ」を基にしていると推測されます。
( 流行: 1897年頃 )
骨盤や太もも周りが広く、膝から下にかけて細くなる形のジョッパーズは、日常では素晴らしい乗馬服ですが、アビスでは完璧な機動性を保証する生存用の衣服となります。
ゆったりとした太もものスペースのおかげで登攀や回避などで動きに制約を受けず、ズボンの裾が脚絆やブーツの中にすっきりと収まり、汚れまでも防いでくれます。
ボンドルドの公式抱き枕を参考にするに、
ジョッパーズから紐をなくしたような形だと思われます。
4. 見送りボンドルドの肩マント : ケープレット着脱型インバネスコート ( Inverness Coat )

コートの肩の上に短く覆い被さっているマントは「ケープレット」と呼ばれ、
コートの上にマントを重ねた全体的な構造の場合は19世紀の「インバネスコート」と言います。
このコートは、イギリスの頻繁な雨や濃い霧、砂埃から服を保護するために考案された実用的な外套です。
このようなデザインは、まるで着る人を高位聖職者のように敬虔で神秘的に見せてくれます。
# ボンドルドは.......
今まで『ブラッドボーン』と『19世紀イギリスの服飾』をもとに、ボンドルドの外見(シルエット)を見てきました。しかし、ボンドルドのデザインを完成させる核心的なコンセプトが、実はもう一つあります。
これを理解するために、以下のセリフをまず見てみましょう。

回想の中のギャリケー:あの方は今はいない。層を跨ぐやり方は不都合が出やすい。
ナナチ : 力場を跨ぎ過ぎると狂っちまうってことなんじゃねーの?
ギャリケーのセリフとナナチの推測を総合すると以下のようになります。
ギャリケーのセリフの意味:他の探窟家たちがどうにか上り下りする比較的浅い層でも、ボンドルドはその過程で不都合が生じやすい。
ナナチの推測のセリフの意味:ボンドルドは力場(呪い)に過度に晒されると狂ってしまう。
つまり、ボンドルドの作中の行動と結びつけて言い換えると...
ボンドルドは「カートリッジがなければ」アビスを自由に歩き回れない、という意味です。
人が特殊な装備の助けなしに自由に歩き回れない場所、
........ そこはどこでしょうか?

はい、ボンドルドの設定コンセプトは「深海探検」です。
海の中、「アビス(深海)の潜水夫」です!
つまり、ゾアホリックの副作用などのため、ボンドルドにとってアビスは酸素のない海の中と同じであり、カートリッジは酸素ボンベのような役割を果たします。
したがって、ボンドルドの設定コンセプトは海の中(アビス)を探索する「潜水夫」だと推測されます。
実際に、アビスの上昇負荷は潜水病と似た様相を呈しており、つくし先生もアビスに入ることを「ダイビング(Diving)」、絶界行を「ラストダイブ(Last Dive)」と呼んでいるため、ボンドルドの設定モチーフが潜水夫であるという仮説はかなり信憑性が高いと私は考えています。
プチ考察①:ボンドルドがカートリッジを発明した理由
実は、ボンドルドはもっぱら六層の探窟や祝福のためだけにカートリッジを発明したのではなく、ずっと昔から【アビス内部に入る際、カートリッジを必ず使用しなければならない状況】に置かれていました。


▲ ナナチとミーティを連れてくる前の極初期から、すでにカートリッジを着用しているボンドルドの姿。 トラック列車に 子供たちを乗せてアビスへ進入する準備をしている。
上の二つの絵こそが、【層を跨ぐやり方は不都合が出やすいため、カートリッジを装着して備えたボンドルドの姿】を明確に示してくれる重要な手がかりです。
つまり、ボンドルドは探窟中に自身が上昇負荷(呪い)で狂ったりおかしくなったりしないよう、カートリッジを発明したのでしょう。私はこれがボンドルドがカートリッジを発明した初期の目的だと考えています。
では、ボンドルドが海中を探検する「潜水夫」だとしたら、イドフロントは何でしょうか?
ズバリ「潜水艦」または「海底基地」です!
# イドフロントのデザイン
1. イドフロントの扉 : 潜水艦のハッチ ( Hatch )
ハンドホイール(Handwheel)を回して開けるイドフロントの扉は、潜水艦の「ハッチ」と全く同じ仕組みです。見た目も非常に似ています。

2. トラック列車 : 潜水鐘 ( Diving bell )
子供たちをイドフロントへ移す時に使われた「トラック列車」の外見は、潜水艦が発明される前の1530年代頃、海中探検に使われていた初期の潜水器具「潜水鐘」に似ています。

3. 基地と服装の電灯 : 船舶用ランプ
基地内部を照らす電灯は、19〜20世紀頃に活発に使われた船舶用ランプのうち「バルクヘッドランプ(Bulkhead lamp)」の形をしています。この他にも、基地の至る所で様々な船舶用電灯のデザインを見つけることができます。

4. プルシュカの帽子とボンドルドの仮面 : ダイビングヘルメット ( ヘルメット潜水 )
プルシュカの帽子とボンドルドの仮面に付いている取っ手は、深海用「ダイビングヘルメット」の取っ手を連想させます。また、ボンドルドの胸飾りの形はダイビングヘルメットの「フェイスプレートガード(Faceplate Guard)」に似ています。

その他の特別なデザイン
深海探検のコンセプトとは関係ありませんが、
オースとは異なるイドフロントならではの独特なデザイン要素も見てみましょう。
1. 肉電球 : ニキシー管 ( Nixie Tube )
数字の形に曲げた針金が互いに触れないよう、幾重にも重なって入っているガラス管です。
20世紀である1950年代に発明されました。立体的に光る針金の形が「肉電球」に似ています。


2. 火炎放射器
作中に登場したギャリケーの武器です。20世紀初頭に発明されました。
ギャリケーの 武器はアビスで使用可能なので、遺物の加工品でしょう。

プチ考察 ②:ボンドルドは「外国」の出身である?
私はボンドルドがオース出身ではない「外国人」だと推測します。その理由は、彼が日常や探窟で「火」を非常に自然に使用しているからです。
つくし卿:オースの街は建物が密集しているので火は使いません。炊事には熱を発する遺物を使っています。
出典:雑誌Febri Vol.44


オースの人々は環境的な特性上、火を使用しません。一方、ボンドルドが総責任者を務めるイドフロントでは日常的に火を扱い、さらに「火炎放射器」の原理を用いた遺物加工品を作って探窟でも使用しています。
このことから、私はボンドルドがオースの常識に縛られない「外国人」であると推測しています。
さらに、ボンドルドは停滞していた探窟技術を2度も飛躍的に発展させました。短期間でこのような革新を成し遂げることができたのも、彼がアビスの知識のみを持つ現地人ではなく、外部の多様な技術を熟知し、それをアビスに応用できる異邦人出身の知識人だったからこそだと思います。
終わりに
つくし先生はキャラクターを構想する際、単なる嗜好品ではなく、まるで生きている人間に接するように、それぞれに苦難と過去を与えるとおっしゃっていました。
だから私は、ボンドルドのデザインも単なる「かっこいい外見」に過ぎないとは思っていません。
彼の姿は、ボンドルドが経験してきた苦難と過去、そしてボンドルドだけの物語がそのまま込められた素晴らしい視覚的装置です。
ボンドルドは19世紀の英国紳士のエレガントで気品あるシルエットを帯びていますが、
実は別の姿には、ゾアホリックの副作用をなんとか解決しようとする「好奇心の怪物」の熾烈な生存戦略が溶け込んでいるのだと思います。私はこのように多様な魅力が絡み合っているボンドルドの設定が本当に大好きです。
今回の文章では、私が好きな「デザインに隠された面白い設定」を皆さんに少しでもお伝えしたかったのですが、うまく伝わったでしょうか。ただ楽しんで読んでいただけたなら、これ以上望むことはありません!
長文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
イドフロント関連で、他の方の考察から一部情報を得ました。ありがとうございます。(潜水鐘、ニキシー管)
https://gall.디시.com/madeinabyss/57390 , https://gall.디시.com/madeinabyss/72652
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